
【ニュース】「立皇嗣の礼」を祝う「賀詞」 参議院本会議で議決
先日、以下のニュースが報道されました。
秋篠宮さまが皇位継承順位1位の「皇嗣」になられたことを内外に広く伝える「立皇嗣(りっこうし)の礼」が来月8日に行われるのを前に、これを祝う「賀詞」が参議院本会議で議決されました。
以下、全文を読む。
報道の内容は、秋篠宮様が皇位継承順位第一位になるための「立皇嗣の礼」という儀式を行うことが報道されており、それを受けて参議院の本会議でお祝いするための決議を行った、というものです。
衆議院では10月28日の本会議にて、参議院では報道の通り10月29日の本会議にて賀詞が議決され、「国民を代表して謹んで慶祝の意を表します。」と祝辞を述べられています。
衆院、参院での賀詞というのは、昨年天皇陛下の即位の際にも賀詞を議決しています。
天皇陛下が即位された際、即位直後に賀詞を議決したのは、憲政史上初だったそうです。
平成の際の賀詞は、昭和天皇逝去に伴う皇位継承だったこともあり、その翌月に行われた「即位礼正殿の儀」に合わせて議決したものです。
今回は平成天皇が退位されての皇位継承であり、即位直後に賀詞を議決したということです。
ところで、この賀詞は「国民を代表して」行われましたが、それはどういうことなのでしょうか?
そもそも「国会」とは?
日本国憲法第41条には「国会は国権の最高機関」であること、「国の唯一の立法機関」であることを規定しています。
「国会」は国民の幅広い意見を取り入れ、審議をより慎重に行うため、衆議院と参議院の二院制を採用しています。
衆議院議員は465人、参議院議員は245人(2022年 248人の予定)の定数が決まっており、選挙方法や任期が違います。
戦前の国会(帝国議会)でも、「衆議院」と「貴族院」の二院制を採用しており、「貴族院」に天皇の特別席がありました。
現在の参議院は、旧貴族院の建物を引き継いでいます。
国会の開会式には今でも天皇陛下がご臨席されることから、参議院の本会議場で開催されます。

国会の仕事
国の唯一の立法機関かつ国権の最高機関である国会の仕事は、主に8つに分かれます。
②予算の議決
③条約の承認
④内閣総理大臣の氏名
⑤内閣不信任決議
⑥憲法改正の発議
⑦弾劾裁判所の設置
⑧国政調査権
①~⑧を以下に簡単に説明します。
①法律の制定・改廃は、そのままの意味です。法律の案は内閣か国会議員でしか出すことが出来ません。ここは市政と大きく違う点です。
②予算とは、政府の1年間の収入と支出の見積もりのことです。対象は政府です。
③条約とは、国と国との約束事を文章にしたものです。条約の「締結」は内閣の役目、「承認」は国会の役目、承認がなければ効力を有しません。
④衆議院の解散の際、国会の最初の仕事は内閣総理大臣の指名から始まります。
⑤内閣不信任決議は、衆議院の「出席議員」の「過半数」の賛成により、内閣を総辞職させることが出来ます。
⑥憲法改正の発議は、衆院・参院・「各議院」の「総議員」の「2/3」以上の賛成を必要とします。
⑦裁判官が犯罪を犯してしまった場合、その裁判官の裁判は、14名の国会議員で構成される弾劾裁判所で行われます。
⑧「参考人招致」や「証人喚問」のことです。国勢調査ではありません。
衆議院の優越について
①~⑧までの内容で、衆議院の優越についてですが、
①~④までは衆議院の優越があります。
⑤は衆議院にしかできないことです。
⑥~⑧は衆議院・参議院は平等となります。
国会の「本会議」とは
「立皇嗣の礼」では、衆院・参院の本会議において、賀詞が議決されました。
では衆院・参院の「本会議」とは何かと言いますと、「議院の意思を決定するための、議員全員が出席する会議」のこととなります。
本会議は、総議員(衆議院なら465人、参議院なら245人)の1/3以上の出席で開かれ、議決は特別の場合を除いて「出席議員」の「過半数」の賛成で決めます。
内容として、「法律案の審議」など上記8つの仕事の他、「議長の選挙」「特別委員会の設置」そして今回のニュースのような賀詞の議決なども行われます。
「本会議」とは、「議院の意思を決定するための、議員全員が出席する会議」のことです。報道では「立皇嗣の礼」に関する賀詞は、全会一致で議決とのことですから、議員の皆様が全員お祝いの心を持っているということですね!

「国会の議決」により「国民を代表して」となる理由
今回の衆院・参院本会議において、全会一致で賀詞が議決されました。
それにより、国民を代表して祝辞を述べられた、ということになります。
なぜ本会議での議決が国民を代表する意思になるのでしょうか?
今回のテーマについて以下に記します。
国会が「国権の最高機関」の地位を持つ理由
「国会」は国の立法機関であり、国権の最高機関となっています。
三権分立は、「国会(立法)」「内閣(行政)」「裁判所(司法)」に分かれています。
その役目は、「法律の制定」 「法律の施行」 「法律違反の処罰」となります。
では国権の最高機関を「国会」に与えているのでしょうか?
なぜ、「内閣」や「裁判所」に与えられないのでしょうか?
理由は簡単です。
国会議員は、主権者である国民が、「選挙によって選んだ人」だからです。
「内閣」は国会議員でない専門家なども任命されることがあります。
「裁判官」は司法試験によってなるのであって、選挙が必要なわけではありません。
「国会」議員だけは、選挙で国民に選ばれる必要があり、他に方法がありません。
よって、衆院・参院による本会議で賀詞が議決されたということは、「国民が選挙により選んだ国会議員の議決」となるわけですから、「国民を代表して」祝辞を述べる、ということになるわけです。
衆議院・参議院には様々な政党の国会議員がいますが、すべての国会議員が全会一致で賀詞を決定したということですから、国民を代表して祝辞を述べたといっても過言はないわけですね!
